サービス管理責任者研修の
実施主体と基礎・実践・更新の
受講要件/申込の段取り
サービス管理責任者研修の実施主体は都道府県、または都道府県知事が指定した研修事業者です。国が直接実施しているのは講師を養成する指導者養成研修だけで、職員が受ける基礎研修・実践研修・更新研修の募集は都道府県または指定研修事業者が行います。したがって申込先は自治体側であり、厚生労働省のサイトを見ても募集は出ていません(令和5年6月30日改正の実施要綱時点)。
段取りとして押さえるのは3点です。基礎研修は配置に必要な実務経験年数の2年前から受けられること、基礎研修修了後に原則2年の実務(OJT)を経ないと実践研修を受けられないこと、実践研修の修了後は5年度ごとに更新研修が必要なことです。募集時期・定員・受講料・県外事業所の受入可否は都道府県ごとに異なるため、研修を実施する都道府県の募集ページで確認してください。
目次
「来年度にサービス管理責任者を1人増やそう」と考えた時点で、その年度の募集がもう終わっていることがあります。埼玉県の委託研修も群馬県の基礎研修も、令和8年度の申込は6月で締め切られました。しかも募集をかけているのは国ではありません。厚生労働省のサイトを探しても、職員が受ける研修の募集は見つからないからです。
僕は埼玉県志木市で就労継続支援B型を運営しています。うちはサービス管理責任者を管理者と兼務している常勤1名の体制なので、研修の日程は完全に自分ごとです。先に答えを2行で書きます。申込先は都道府県、または都道府県知事が指定した研修事業者です。段取りは「基礎研修は2年前から」「実践研修まで原則2年」「その後は5年度ごとに更新」の3つで決まります。
研修を募集しているのはどこか。国ではなく都道府県です
サービス管理責任者研修を実施するのは、都道府県または都道府県知事が指定した研修事業者です。国の実施要綱には「実施主体は都道府県又は都道府県知事の指定した研修事業者(以下「指定研修事業者」という。)とする」と書かれています。国が費用を補助するのも「都道府県が研修を実施する場合に限り」とされています。研修を開くこと自体が都道府県側の仕事です。
国が直接実施しているのは、講師を養成する指導者養成研修のほうです。実施要綱は講師の要件をこう定めています。「国が実施するサービス管理責任者等指導者養成研修を修了した者又はこれに準ずる者が務めること」。国は講師を育て、都道府県は職員向けの研修を開く。役割はそこで分かれています。
ここを取り違えると、探す場所を間違えます。同じ障害福祉の研修でも、就労選択支援員養成研修は国が主体で実施していて、申込も厚生労働省のサイトから直接行います。研修ごとに窓口が違うわけです。サービス管理責任者研修については、実施主体である都道府県の障害福祉主管課のページを見ることになります。
ここは迷いやすいところだと思います。事業所の指定権者が政令市・中核市の場合でも、要綱上この研修を実施するのは都道府県又は指定研修事業者です。この研修の申込先は都道府県または指定研修事業者だと、指定申請の窓口とは切り離して覚えておくほうが早いです。
研修は何種類あって、どの順で進むのか
基礎研修を修了し、実務(OJT)を経て実践研修を修了して初めて配置でき、その後は5年度ごとに更新研修が必要です。現在の体系は令和元年度から適用されています。それ以前は、実務経験を満たした人が研修を1回修了すればすぐ配置できました。厚生労働省の資料は、この見直しによって「サービス管理責任者等としての養成開始から2年以上を要することとなった」と説明しています。
| 研修 | 位置づけ | 受講できる人 | 時間数 |
|---|---|---|---|
| 相談支援従事者初任者研修(講義部分) | 基礎研修修了者となるために必要 | 都道府県の募集による | 11時間 |
| サービス管理責任者基礎研修 | 入口の研修 | 実務経験者、または実務経験者となる日まで2年以内の者 | 15時間(講義7.5+演習7.5) |
| サービス管理責任者実践研修 | 配置の要件を満たす研修 | 基礎研修修了後に通算2年以上(条件により6月以上)の実務がある者 | 14.5時間 |
| サービス管理責任者更新研修 | 5年度ごとの更新 | 現に従事している実践研修修了者、または直近5年で通算2年以上従事した実践研修修了者 | 13時間 |
| 専門コース別研修 | 意思決定支援などテーマ別の上乗せ | 基礎研修の受講対象者と同じ | コースにより異なる(実施要綱別表4) |
見落としやすいのは表の1行目です。告示上「基礎研修修了者」となるには、基礎研修に加えて相談支援従事者初任者研修の講義部分を修了している必要があります。厚生労働省の資料はこの2つを合わせて26時間と説明しています。ただし実務上は、別々の研修として募集される場合があります。
群馬県の案内が分かりやすい例です。令和8年度の基礎研修の受講要件に相談支援従事者初任者研修(基礎課程)の修了を挙げたうえで、こう書いています。「令和8年度相談支援従事者初任者研修(基礎課程)をお申込みした方は、受講決定された後に本研修の申し込みをしてください」。群馬県では、2つの研修に別々に申し込む段取りになります。
僕が怖いと思うのはここです。基礎研修の募集だけ押さえて安心していると、もう一方の募集を逃します。基礎研修修了者になるには相談支援従事者初任者研修も別に必要だという前提で、年度はじめに自分の県の案内を通しで読むほうが確実です。都道府県によって組み方が違うので、他県の段取りをそのまま当てにはできません。
基礎研修はいつから受けられるのか
基礎研修を受けられるのは、配置に必要な実務経験年数に達する日までの期間が2年以内の者と、実務経験者です。告示は基礎研修を「実務経験者となるために必要な年数に達する日までの期間が2年以内である者又は実務経験者に対して行われる研修」と定めています。つまり2年前倒しで受講できます。群馬県の募集要領は、この差を表で示しています。
| 業務の区分 | 基礎研修を受講できる年数 | 配置に必要な年数 |
|---|---|---|
| 相談支援業務 | 3年 | 5年 |
| 社会福祉主事任用資格等を有しない者の直接支援業務 | 6年 | 8年 |
| 社会福祉主事任用資格等を有する者の直接支援業務 | 3年 | 5年 |
| 国家資格等による業務に3年以上従事している者の相談支援業務・直接支援業務 | 1年 | 3年 |
配置に必要な年数まで待ってから基礎研修に出すと、そこから実践研修までさらに2年かかります。実務経験の要件を満たす2年前に送り出せば、年数が足りた頃には実践研修の受講要件も見えてきます。育成の順番で分かれ目になるのは、勤続3年目の職員を候補として押さえておくかどうかです。
ここは制度の話というより経営判断の領域です。基礎研修に出せば、その日数だけ現場を空けてもらうことになります。目の前の人員繰りだけを見れば、来年でいいという結論になりがちです。ただ、1年送れば配置できる時期も後ろにずれます。欠員が出てから育て始めると間に合わないのがこの研修の性質なので、基礎研修だけは早すぎるくらいでちょうどいいと考えています。
実践研修までの2年は縮められないのか
基礎研修の受講開始日において既に実務経験者だった職員は、条件を満たせば6月で実践研修を受けられます。原則の要件は別に置かれています。基礎研修修了者となった日以後、受講開始日前5年間に通算2年以上従事していることです。対象になるのは相談支援業務または直接支援業務です。
短縮の道は告示に書かれています。基礎研修の受講開始日に既に実務経験者だった職員が、基礎研修修了後に個別支援計画の作成に関する業務へ通算6月以上従事した場合は、6月で実践研修を受けられます。ここでいう業務は、指定基準第58条第2項から第5項、アセスメントから原案の作成までです。
この6月ルートの前提になるのが、告示第544号一ホの取扱いです。サービス管理責任者が配置されている事業所では、基礎研修修了者にアセスメントから原案作成までの業務を行わせることができます。そのうえで、その基礎研修修了者を置くことで配置すべき人数に達したものとみなせます。既存のサービス管理責任者の下で計画作成の実務に就かせながら育てる形が、制度上も想定されているわけです。
正直、この一ホは分かりにくいと思います。読み違えやすいのは、1人目のサービス管理責任者を置く代わりにはならない点です。すでに配置がある事業所が次の1人を育てるための仕組みだ、というのが僕の読み方です。
ただし、この取扱いを使うには自治体への手続きが必要な場合があります。兵庫県は「上記業務に従事することについて、指定権者に届出を行っている」ことを6月ルートの条件に挙げ、届出書の様式まで用意しています。業務に就かせる前に届出の要否を確認するほうが安全です。従事させてから届出が必要だったと分かると、その期間を6月に算入できるかどうかで揉めます。
更新の期日はどこを見れば分かるのか
職員が持っている実践研修・更新研修の修了証書に、次に更新研修を修了すべき期日が記載されています。実施要綱が、修了証書について「次に更新研修を修了すべき期日を記載するものとする」と定めているからです。年度計算で迷う必要はありません。
期日の決まりも確認しておきます。更新研修は、実践研修を修了した日の属する年度の翌年度を初年度とします。そこから5年度ごとの各年度の末日までに修了する必要があります。期日までに修了しなかった場合、その職員は基礎研修修了者とみなされ、実践研修を受け直すことになります。
都道府県の側にも配慮が求められています。更新研修の募集に当たって「受講が必要な者の実践研修修了年度を募集要領等に明記する等、受講漏れが生じないよう適切な措置を講ずる」という書き方です。ただ、県が明記してくれるとしても、期限を追うのは事業所の仕事です。人員基準を満たす人がいなくなれば、サービス管理責任者欠如減算に直結します。
うちはサービス管理責任者が管理者と兼務の常勤1名なので、この節は特に重く読んでいます。1人が更新を落とせば、配置できる実践研修修了者がいなくなります。更新研修は代わりがきかないという前提で年度計画を組むのが筋です。
職員名簿とは別に、サービス管理責任者と候補者だけの一覧を作る組み方が実際的です。持たせる項目は4つで、氏名・基礎研修修了日・実践研修修了日・修了証書に記載された次回更新期日です。更新期日は年度末なので、その年度の更新研修の募集を見落とさないよう、前年度末の時点で確認の予定を入れておくと安全です。更新研修を落とすと基礎研修修了者とみなされて配置できなくなるため、期限の管理はほかの研修より重くなります。
基礎研修に出す候補は、配置に必要な年数ではなく「その2年前」で拾うのが実際的です。勤続年数の一覧から、相談支援業務3年・直接支援業務6年に到達する職員を毎年度はじめに洗い出します。そのうえで募集開始を待つ形にしておくと、欠員が出てから慌てて探す状況を避けられます。
6月ルートで実践研修を早める場合は、個別支援計画の原案作成に従事させる前に指定権者へ届出の要否を確認してください。届出が必要な自治体では、従事開始が届出より前だとその期間を算入できない可能性があります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
いつ申し込めばいいのか。都道府県ごとに違います
募集の回数・時期・受講料・県外事業所の受入可否は都道府県ごとに決まるため、実施する都道府県の募集ページで確認します。研修の内容は全国共通のカリキュラムです。違うのは、年に何回開くか、いつ募集するか、いくらかかるか、県外の事業所を受け入れるかです。
次の表は2026年8月16日に各県のページで確認した内容です。募集が終わっているものは、その旨も併記します。
| 都道府県 | 令和8年度の運用 | 募集・申込(2026年8月16日時点) |
|---|---|---|
| 兵庫県 | 基礎研修は上半期(6〜7月)と下半期(11月〜令和9年1月頃)の2回。実践研修も上半期(10〜11月)と下半期(令和9年1月〜2月頃)の2回。更新研修は令和8年12月〜令和9年1月 | 上半期の基礎研修と実践研修は募集終了。下半期の基礎研修は令和8年9月頃、下半期の実践研修は令和8年10〜11月頃に募集開始の予定。更新研修の募集期間は令和8年7月15日〜8月28日 |
| 群馬県 | 基礎研修は年1回。講義は令和8年7月下旬〜8月中旬の動画配信、演習は9月1日・9月25日・10月7日・10月16日のいずれか1日 | 申込期限が令和8年6月29日(消印有効)で、募集は終了。定員250名程度、受講費用6,000円、県外事業者の申込は不可 |
| 埼玉県 | 委託研修(令和8年度は有限会社プログレ総合研究所へ委託)は4日間で、相談支援従事者初任者研修との共通講義2日と専門講義1日をWEBで視聴し、演習1日は会場。演習は令和8年8月7日から10月2日までの5日程のいずれか1日。これとは別に、県の指定を受けた2事業者が独自の日程で基礎研修を実施 | 委託研修の応募期限は電子申請が令和8年6月5日、郵送書類が6月8日必着で、いずれも終了。定員500名程度、受講費用は4日間で15,000円。県外の事業所からの申込は受け付けていない。指定事業者の研修は日程も受講料も事業者ごとに異なり、申込は各事業者へ直接 |
読み取れることが3つあります。第一に、申込の締切は研修の実施よりかなり前に来ます。群馬県は6月29日締切で演習が9月から10月です。埼玉県の委託研修は6月上旬締切で演習が8月から10月です。第二に、募集が年1回しかない自治体があることです。群馬県の令和8年度基礎研修は6月29日で締め切られており、次は令和9年度の募集を待つことになります。第三に、指定研修事業者を使っている自治体では選択肢が増えます。埼玉県では、委託研修の応募期限が過ぎたあとも、県の指定を受けた2事業者が独自の日程で基礎研修を実施しています。
ただし、埼玉県のページに載っている指定事業者の日程には年の誤記が混じっています。ある事業者の第3回は、講義が令和8年6月25日から27日なのに演習だけ令和7年6月28日と書かれています。第10回は、講義が令和9年1月28日から30日なのに演習が令和8年1月31日と書かれています。開催回数や実施月を県のページの表だけで判断せず、申し込む前に各事業者のサイトで日程を確認してください。
申込の主体も確認が要ります。兵庫県の案内はこうです。「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の配置が必要な障害福祉サービス事業所及び配置の予定のある個人から申込みを受け付けています」。兵庫県では、新規開設の場合も予定の事業所名を記載すれば申し込めます。一方で、兵庫県の受講決定は先着順ではありません。県のページは「例年は定員以上の申込数があり、選考により受講者を決定しています」と明記しています。事業所への配置の必要性等で選考されます。群馬県も、法人または事業所等からの推薦を受けていることを受講要件に入れています。
だから、個人が思い立って申し込む研修ではありません。事業所として誰を出すかを先に決める研修です。第1希望で受講できない前提に立って、年度内の別日程まで見込んだ計画にしておくほうが安全です。
費用の考え方は要綱に書かれています。資料等に係る実費相当部分、会場までの旅費、宿泊費は、受講者(所属する事業者を含む)の負担です。金額は都道府県ごとに違います。令和8年度の基礎研修でいえば、群馬県は6,000円、埼玉県の委託研修は4日間で15,000円です。埼玉県は、相談支援従事者初任者研修との共通講義を令和7年度以降に修了していて免除になる場合は9,000円になります。指定研修事業者が実施するものは、さらに事業者ごとに受講料が異なります。
年度計画に落とすとき、どこを確認すればよいか
事業所が決めるのは「誰を」「どの研修に」「いつ申し込むか」の3つで、確認先はそれぞれ違います。誰をは、実務経験年数の2年前で拾います。どの研修には、その職員の現在の修了状況で決まります。いつ申し込むかは、都道府県の募集ページ次第です。
確認先を取り違えないことも大事です。募集回数・定員・受講料・県外事業所の受入可否・6月ルートの届出様式は、この記事で挙げた3県の例のとおり自治体ごとに異なります。指定基準そのものも都道府県・指定都市・中核市の条例に委任されています。配置や減算の扱いは自法人の指定権者の条例・要綱で確認してください。研修の募集は都道府県の募集要領で確認してください。国の実施要綱で全国共通なのは、実施主体・カリキュラム・修了証書の扱い・費用負担の考え方までです。
書きながら改めて思ったのは、サービス管理責任者は採用の問題と研修の問題が別だということです。人を採れば配置できるわけではなく、研修の順番と都道府県の日程が先に決まっています。逆算する先は求人票ではなく、都道府県の募集ページです。結局、配置が必要になる年度から逆算して候補を決めておくことが一番大事だと思っています。
あわせて読む
サービス管理責任者の段取りでつながる記事を挙げます。
- サービス管理責任者の資格要件 … 実務経験の3ルートの数え方を条文に沿って整理しています
- 個別支援計画の作成の流れ … 6月ルートで従事させる業務そのものの手順です
- 個別支援計画の書き方 … 基礎研修修了者に原案を書かせるときに手渡す型になります
- 就労選択支援員養成研修 … 国が実施する研修の例。窓口が研修ごとに違うことが分かります
- 実施主体
- 都道府県、または都道府県知事が指定した研修事業者
- 研修の種類
- 基礎研修・実践研修・更新研修・専門コース別研修
- 時間数
- 基礎研修15時間(別途、相談支援従事者初任者研修の講義部分11時間)、実践研修14.5時間、更新研修13時間
- 基礎研修を受けられる時期
- 配置に必要な実務経験年数に達する日の2年前から
- 実践研修までの実務
- 基礎研修修了後に原則2年。条件を満たせば6月に短縮
- 更新の期限
- 実践研修を修了した年度の翌年度を初年度とする5年度ごとの各年度末日まで
- 費用の負担
- 資料等の実費相当分・旅費・宿泊費は受講者(所属する事業者を含む)の負担
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
